東京ロマニ negro

時計の針を見た、

3時4‥7分、おそらく午前。
秒針を目で追える程の視界はまだなく、開くつもりもまだない。

光はまだ射さない。明かりは薄暗く部屋の壁を古い新聞のように色付けている。

喉が痛い。
乾燥した空気がエアコンのつけっぱなしを知らせにきたが、居留守を使う。
動く気もまだしない。

新聞配達の音だけが一日の始まりか終わりかを街中に届けているのはわかる。
悪いが受け取るつもりもまだない、まだまだない。

まだまだまだまだ

意識があったのか無かったのか。
どれくらい眠ったのか。

微かに聞こえて来る近所のコンビニの入り口の開閉音が、荷台から積み荷を降ろすトラックの音が、運ぶ台車の回る車輪がガリガリとアスファルトに削られる音が、時計の針を見ずとも時間を告げ、秒針よりも現実は早く進んでいる事を、進んで行く事を頼んでもいないのに教える。

50メートルを6秒で走れていたアイツはクラスでも人気者だった。
もしかしたら今アイツは50メートル2秒くらいで走れるようになってはいないだろうか?

的外れな疑惑疑念が弾かれたパチンコ玉ぐらいの勢いで頭のてっぺんから、まるでパチンコ台の中央に転がり込んでくるように、思考に入り込み、心臓に達し、血液となり、体中に疑心暗鬼が広がり、けたたましく運ばれていく玉のような気分だ。

玉に口があれば彼らは流れていると答えるだろうか、流されていると答えるだろうか。
『弾かれただけなんだ』
と答えてくれはしないだろうか。

仮に玉に口があって、答えてくれたとして、その答えに意思はあるんだろうか。
質問に応えてはくれるが、彼らの答えではないんではないだろうか。

ようやく時計の針を見た、

12時47分。午後だ、間違いなく。
17秒18秒19秒20秒・‥

秒針は目で追えているが

追いかけても追いかけても追いつかない時間の流れが
既に焦りすら忘れさせ、

まだまだまだまだ、と。

秒針の針の速度は

嘘をついている。

カーテンのわずかな隙間から差し込む光に道筋を毎朝示されているという錯覚。
あなたは正直者なのねと、素直なんだねと、随分だまされて生活しているのは薄々わかっている。
きっとあの光は営業の女神様お得意の口説き文句なんだろう。

悪くない、そんな生活も、日々も、日常も、人生も。

悪くない。
悪くない、

悪くない。

光が悪くなんてあるはずがない、光が。
闇が悪だろ、普通。絶対。

光が、

嘘をついている。。。。、?
としたら。

乾燥した部屋の空気が煙草の煙と共に笑っているように混ざりあう。

まだエアコンはつけっぱなしだ。
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by locario | 2010-02-10 08:08
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