R.R.R 序章

目標もない、夢もない。
描く理想は人並みにあれど、

いつまでたっても実線の描かれない下絵みたいなもんで、
いつまでたっても完成しないなぁ、なんて。
下絵なんだから完成するわけないじゃないなんて事に、

本質を見失った日常が日々淡々と続くわけで。

虎視眈々としてたはずの視界は、いつしか視力衰え、
儚げに日々の中に溶け込んでいく。

街灯の色は滲み、信号機の光はパレットの上の絵の具のようにぼやけ、
やがて歳をとったと、つぶやく。

あれ、昨日の晩飯なんだっけ?

気にもとめないことが、記憶に留まることもなく、

青年期のことは鮮明に思い出せるのに、
ごく最近の日々日常はおぼろげにしか投影されない頭の中のスクリーンには、

ただただ美化された過去の美しい映像美だけが、古き良き時代と言葉で称えられる映画の様に映え、

エンドロールのどこかに自分の名前が刻まれていることだけを期待し、
幕が下りるのを楽しみにしているような気にさえなる。

エンドロールを見ることなく足早に立ち去る人を、情感の無い奴だと毛嫌っていた男は、今朝立ち寄ったコンビニの店員が、ありがとうございましたと言った後についた決して人に気づかれぬよう隠した溜め息の様な焦りを覚えた。

校内音楽会で聴いた上級生の縦笛の演奏【熊の踊り】と、他のクラスが合唱で歌っていた、【翼をください】に、音楽の授業が嫌いで、声を出して唄うのは恥ずかしいし、女子みたいでださいと思っていた少年も少し感動していたのを男は思い出していた。

翼をください
翼をください
翼をください

どんな歌だっけ。
校歌の歌詞の二番くらいに思い出せない。

翼をください

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by locario | 2009-06-14 20:20
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